スコットランド2日目はエジンバラ・ホリールード宮殿で開催されていた「ファベルジュ展」に感激し、3日目からは湖水地方へ列車で移動
恐ろしい日本人
相棒は早寝早起き。メールの着信が午前 4 時だの 5 時だのはざら。日本ではお弁当だのなんだのと仕事があるが、さすがに英国に来てまでは無いので、しょっちゅう朝シャンならぬ朝ウォクに出ていた。
この日も、るんるくるん、と散歩に向かったら、丁度ロビーで、渋いおじさんがお茶で一服中。何気なく「おっはよ」と声を掛けるや、びっく~んと、青ざめて振り向いたんだそうな。
分厚い絨毯に足音もなく、奇襲をかけられたに等しい彼は、生きた心地がしなかったろう。
5 時前に散歩に出るなんて、非常識にもホドがある、と思ったかどうかは知らないが、多少寿命が縮んだかもしれない。
相棒は「勇猛なスコットランド人も、可愛いもんね。お~っほっほっほ」と、英雄談を語ってくれたが、その後も、我々を見る度、はっとひるむ姿がショックの大きさを物語る。哀れよのぉ
で、彼女が早朝の散歩から戻ったら、まだドアにルームサービスのメニューがぶら下がっていた、というので、不審に思っていると、時間の指定に不備があったようで、却下されていた。
仕方なく、嫌がる相棒を引きずって食堂に向かう。
ブフェなので、ほっとしたらしく、お雛様みたいな量で、ニコニコしている。サーモンとスクランブルエッグを頼んだ私が、すんごぃ大食漢みたい。
それはともかく、空いていたので、サービスの女の子に、お城までバスで行けるか尋ねると、途中まで行けると言うので、早速昨日の地図を出し、チェックしてもらう。
「こんな地図初めて(@o@)」と逆に感心されたが、乗るべきバスと、降りるべきバス停を教えてくれた。地図にはルートまでは載っていなかったので、彼女のおかげ助かった。
エジンバラの街を歩く
我々のホテルは、新市街からちょっとはずれた丘の上。旧市街へ行くには、一度駅のある中心部まで降りて、また登っていかねばならず、歩くと結構きつそうだなぁ、と心配してたので、直通バスがあるのは朗報だった。
いそいそと乗り込み、お城近くで降り、残りを歩く。
途中、無人のポリスボックスを見つけた。赤いのがコンピューターで、警察のサイトかなにかに繋がっているんだろう。MAP の項目など、色々あった。すごいモノが在るもんである。
お城に入るかどうかで悩んだ末、ウインザー城のように、2 時間近い散歩になると苦しいので、門で写真を撮るだけにし、登ってきた坂を引き返す。
途中カシミヤの店があったので、土産の不足分を思い出した相棒が、再び土産買いに邁進。カシミヤショップなら山程あるだろう、と思っていたのに普通の店は少なく、意外。
個性的なデザインの店は多く、カシミアなので、お値段には難があったが、見る分には楽しかった。
バスが思った以上に便利だったので、土産を置きに一旦ホテルに戻る。フロントのおじさんは、デカイ荷物で早々に帰着した我々に、また驚いたようだった。
再び、旧市街までバスで戻り、今度は坂の下の宮殿を目指す。
ロイヤルマイルの坂の両側には様々な店が並ぶので、覗きながらのそぞろ歩きが楽しい。途中Nicolson Street の表示を見、はったと気づくオマヌケな二人組。この通りには、ローリング女史がハリーを書いていたカフェ(この当時は中華バイキングの店)があるはず。
この辺で聞けば、知ってる人もいるんだろうが、見たからどうというモノでもなかろう、と自分達に言い聞かせ、諦めた。今住所から地図で探すと、なんと、ご親切にも「J.K Rowling が最初のハリーポッターを書いた処」と注釈までついて、載っていた。ショック。
宮殿とファベルジュ
ホリールード宮殿に着くと、丁度、宝石細工の「ファベルジュ展」が開催されていた。
宮殿内部の見学と、「ファベルジュ展」どっちを採るか悩んだ末に、ファベルジュを選択。
ウインザー城の見学が、結構トラウマになっていて、宮殿って何時間歩くんだろう、という恐怖がぬぐえない。
卵の装飾で有名なファベルジュの工房だが、ここには様々な品が出品されていて、壮観。
まるで夢の世界にいるようだ。恐ろしく緻密で精巧。やはり実物は印刷物とはまるで違う。命のない物のはずなのに、オーラが立ちのぼっている。
現代の我々には、富の偏在を、良い事だとは言いにくいが、ここまでの作品を作ることが出来る、力。そして、それを許す力。
世の中には様々な価値と方向があり、その一つの結晶を見た想いがする。
もしも購入できる力があったなら、私だって欲しい。
財産としてではなく、純粋に、その美しさを手元において眺めたい。
そう、もうこれは宝飾品の次元ではなく、何か、別のものだ。
それほど広くはなかったのだが、何度も巡回したし、椅子に座ったまま、お気に入りを眺めることも出来たので、あっという間に結局は 2 時間近く経っていた。宮殿では結局 2時間かかるんだね(^o^;)
ふらふら、と天国から地上に戻り、併設の王室ショップに出る。
そこには山と積まれたファベルジュ本があるのだが、本物を見たあとでは、逆に買う気になれなかった。
今頃になって、やっぱり買っておくべきだった、と後悔しているのだが、後の祭り。
ここは書籍が充実していたので、他の本を色々買い込む。つくづく商売上手な王室である。
この王室マークが目に入らぬか、という感じでグッズも山盛り。外灯にまで王冠が付いている。ウィンザー城にもあったが、外灯の数を考えただけでクラクラする。根性だ。
皇居にも、売店があるんだろうか? 灯篭とかにも菊の御紋が彫ってあるのだろうか?そういえば、日本国民なのに、一度も行ったことがない。結局宮殿も、外から見ただけだが、それは、次の旅の口実にとっておくことにして、庶民の町へと戻る。
やっぱり変な英国鉄道
スコットランド3日目はエジンバラからカーライルまで。1 時間の短い旅から始まる。
エジンバラの駅「Waverley」は地下駅で、ホームのすぐ傍まで車で行ける不思議な駅だ。
英国にはこんな仕様の駅が、他にも在るのだろうか、気になるところである。
駅の中でタクシーを降りられるから、至極便利。段差もなく、屋根付きで、全天候型。
タクシーを降り、駅舎のドアを開けると、昨日来たチケットオフィスの横に出た。
1時間前なので、まだプラットホームが決まっていない。首都なので、列車の本数も多く、掲示板がめまぐるしく変わる。
我々の目的地は「カーライル:Carlisle」だったが、ふと、列車自体の最終目的地を知らない事に気づく。発車時間だけが頼りでは、変更があった場合、自分の乗るべき列車を逃してしまう可能性がある。
時刻表みたいなものを求めて彷徨い、路線図のリーフレットを入手。目的地はあまり馴染のない駅名だったので、このことによくぞ気づいた!と、自画自賛。
あとはすることもないので、待合室で、絵葉書を書きまくる。日本語だと周りの目に気兼ねせずに書けるのがいい。
乗ってみたら「土曜日なので、混んでいる」はずの列車は、それほどでもなく、なんだかなぁ~と、やはり釈然としない。
乗った便はたまたまヴァージン鉄道だったが、やはり内装が航空会社っぽく、ミッッキーマウスの耳みたいなデザインが可愛い。
席にはなぜかコンセントがあったが、パソコン用だろうな。各席の上には、電光掲示でその席の行き先が出てくるので、ちょっとびっくり。
我々のチケットは土・日はファーストにアップグレードされるはずだったので、ホームで聞いてみたが、無視される。ユーロスターの悪夢再び、でちょっと神経質になる友を尻目に、車掌に聞きに行く。
タダで、ファーストを覗けるのだ、今後の為にも見ておかねば。「1 時間しか乗らないのだから、どっちでもいいようなもんだろ」と言われたが、「ファーストがどんなものか知りたい」と言うと、一等「お好きな席にどうぞ 」で、席を移動。
座り心地に大した差はないが、人が少ないので、空気がやわらかく、良い感じ。この列車の一等は、荷物も車内に置けて安心だ。
今回は新しい車両で、短時間だったこともあり、追加料金を払ってまでこちらに乗りたい、までの差を感じなかったが、ロンドンまで、とか、ハイシーズンなら、それなりの価値はあるな、と思った。
普通車は 2 列 2 列。ファーストは 1 列 2 列の並びである。
湖水地方を迷う
レンタカー事務所はカーライル駅構内、というかホームにあり、便利。もっとも、全然気づかず、案内所のオジサンにつれて来てもらったのだが…(^o^;)
今度の車は懐かしの「TOYOTA」で、担当の女性も日本車は最高よぉ!と絶賛。フロントガラスがえらく汚いので、拭こうとすると、「小さい虫がドンドン当たって、こうなるの。掃除の手抜きじゃないのよ」と教えてくれた。
で、たしかに、この後何度拭いても、すぐにこうなってしまうのだった(@_@)
ワイパーと方向指示器が逆、な以外はトヨタなので、やはりボルボより運転しやすい、とはドライバーの弁。車種は日本でも発売になった「アベンシス 」
さて、レンタカー「かんたんよぉ」というお姉さんの案内通りに、進んでいったはずだったのに、あとで気づけば、違う道を行っていて、いつの間にか ペンリスに到着。
あれれれれぇ~?ヘンだねぇと言いながら、アルスウォーター湖を目指す。
高速だと思っていたのに、地道だったのだ。地
図には、わざわざ「ローマン道」と銘打ってあったので、ハドリアヌスの壁に続く、由緒正しき道だったのか。それにしても、いつドコデ間違ったんだ?英国の道はやさしいはずではなかったのか?ううぅ~む
アルスウォ-ターには、一度泊まってみたいと思っていた Sharrow bay Hotel がある。せめて昼食なりと、そこで摂ろうと寄り道を決意。
湖畔の道をどんどん進む。右も左も丈の高い草にかこまれ、こちらがウサギにでもなった気分だ。中から突然石塀が現れるなど、スリルとサスペンスに満ちた小道である。
「本当にこの先に、そんな豪華なホテルがあるのか?」と不審に思いながらも、獣道のような砂利道を進む。
木立のスキマから、ちらっちらっと湖がみえる。真昼の陽光をキラキラと反射した湖。のどかな午後の風景だが、こちらは薄暗~い林の中を、遭難の心配をしながらの走行。その対比がなんとも可笑しい。
20 分ほども走っただろうか、ようやくホテルに到着。間違ってなくて、よかったぁ~。