真打登場。さぁ、ホグワーツへ行こう! だ。
この世のホグワーツ・グロスター大聖堂
グロスター:Gloucester へ入る時から興奮気味の二人。
インフォメーションの真横で、インフォメーションを探し、しかも気付かない! というお間抜けぶりを発揮。仕方ないので、通行人を捕まえて、グロスター大聖堂:Gloucester Cthedralへの道を聞く。
敷地内には住宅もあり、車用ゲートはなんと自動ドア! 大聖堂は改修中らしく、無粋な足場が邪魔だったが、こうした地道な努力があってこそ、美貌が保たれるのだから、仕方ない。
通常の入口は、催事のために閉まっていたので「ここまで来て、まさかの臨時休館?」と青ざめていると、親切なオジサンが、「こっちこっち」と先導してくれる。
内陣の入口から入れるらしく、ドアを開けて、自分も入り、私達も招き入れてくれた。案内人が居たわけでもないで、この人に会えて超ラッキーだったのだ。でなければ、しおしおと戻っていたはずで、やはり、日頃の行いは善くしておくに限る。
グロスター大聖堂の内部
「内陣 ? PRESBYTERY」には聖歌隊や重要人物の席が設えられ、一般信者の座る「身廊 ? NAVE」より、装飾が念入りで、重厚華麗である。
祭壇もゴージャスで、ステンドグラスとしては最大級のものを借景に、圧倒的な量感で厳かな雰囲気を演出している。
一般信者の座る「身廊」からは、ステンドグラスの上部だけしか見えないのだから、差は歴然といったところ。
679 年にサクソン王国の王子が創設した修道院が、11世紀、ノルマン朝ウィリアム征服王の命で改修され、円柱も見事なロマネスクの大聖堂が建つ。
フランス、モン・サン・ミシェル出身の修道僧により修道院もこの頃に拡充され、回廊もこの頃建造される。その後改装され、ハリーポッターの映画に使われたのは、14世紀、ゴシック様式に全面改装されたもの。
回廊
回廊は修道僧の生活の場で、廊下のような建物。教会の横に、中庭をぐるりと囲む形で造られた。
それぞれの面は、目的別に使い分けられていて、普通は西面が学校で、修道僧自身が学び、近隣の子供にも教えていた。
東面は事務室。南面は窓が北に面して一番暗く、リネン室や洗面所として。一番明るい北面は勉学、修養の場として割り振られていた。
グロスターでは聖堂が南側にある関係で、通常とは南北が逆に使用されており、この南面が勉強部屋で、往時は「carrel」という板で、20 の小部屋状に仕切られていたそう。
現在はグロスター大聖堂の中で、ロケに使われた場所が解説されたパンフレットを売っているそうなので、以下の記述に間違いがあれば、教えてください。
東の回廊は、今や世界で一番有名な回廊かも。2 作目で、血文字の描かれた壁、として登場しているのが、この東面。
この辺りのシーン、ハリーがバジリスクの声を追っているのは、レイコックの回廊。
それが、曲がったとたん、ここなのだ。う~ん、見事。
血文字の壁血文字の壁は東面なのだが、ダンブルドアがいるのは、びみょ=に西回廊だったりもするんじゃないか、と疑っている。
とはいえ、何度 DVD を見ても、手持ち写真での検証は無理だったので、諦めた。生徒がワラワラ湧いて出てくるのは、集会所が、廊下中ほどにあるからで、この辺も巧く出来ている。
西の回廊は、1 作目で、トロールが出現し、パーシーが引率して寮へ戻る場面で中庭へのドアが使われている。このあと、ハーマイオニーに、トロールの事を知らせる為、ロンとハリーがマントを翻し、中へ駆け込み南へ走るが、角を曲がると、なぜか、北面になっている。
この南の回廊は、一作目のパンフレットに載っているので、印象に残っている方も多いはず。三人が仲良く歩いている場面のバックがここ。
パーシーが新入生をグリフィンドール寮まで引率するシーンも、この南面。特徴的な壁面の窪みは、勉強部屋というか、ブースの名残。
北の回廊が使われたのは、トロールを見つけ、ロンとハリーが隠れるシーン。隠れた場所は、修道僧の洗面所だったところで、中庭に出っ張っている。
最初見た時は、変なベンチ~、と思ったが、実は石で出来た洗面台で、上の溝に水が流れ、排水口が等間隔にあけられている。中世は、食事が手掴みだったので、手洗いは非常に重要だったのだ。
仕立て屋
ポッターといえば、もう一人、グロスターの仕立て屋このグロスターで有名なのが、ベアトリクス・ポター。
こちらは通常ポター、と表示されているが、英語は同じ、「POTTER」ピーターラビットのシリーズで、ねずみが中心の「グロスターの仕立て屋」の舞台が、ここ。
ハリー関係の本を求めて本屋に入った時、ふと思い出し、尋ねてみると、これがすぐそこ。大通りに看板が出ていたわけではないので、聞かなければ、知らずに素通りしただろう。
細い路地の奥に、ショップがあり、2 階部分が展示館。舞台となった家にミニチュアが飾られている。
湖水地方で、この手の展示館に行かなかったこともあり、1ポンド、と安かったので、覗いてみることにした。ドールハウスのような感じで、挿絵のシーンをミニチュアで再現している。
それだけ、といえばそれだけなのだが、服なども、手が込んでいて、我々ていどのオトナなら、過不足なく1ポンド分くらいの楽しさだった。子供だと、オツリがきたかもしれないが、当節のお子様だと、その辺はどうなんだろう
英国都市からの脱出門難しい
帰路は別の道をとって、チェルトナムを経由したのだが、迷路のような街で、ぐるぐるぐるぐる。表示に忠実に従って行ったのだが、あまりに何度も曲がるので、まったく、ワケがわからなくなった。
以前宿でご一緒したご夫婦も、ここから脱出するのに 1 時間かかったとの事だったが、さもありなんである。
ガソリンが切れかかっていて、気が気でない相棒は、町中で、スタンドを探したい!と叫ぶのだが、英国の街中には無いことのほうが多いので、なだめながら、兎にも角にもここを抜けることを優先させる。
何分走ったんだろう? 訳がワカランままに、街はずれに到着。とりあえず道端に停車し、車内でぐったりする二人。一難が去ったので「ガソリン」を調達すべく、その辺の住人に尋ねると、そこのラウンドアバウトを左にいってスグ、にあるとか。やれやれ。
規模の大きなスタンドで、併設店舗には、野菜やお惣菜まである。休憩がてら探検も出来て、楽しかったが、英国では、都市からの脱出も、田舎の細道と同じくらい難しい。
翌日はもうひとつのホグワーツ、 レイコック:LACOCK へ向かったのだが、道中これと同様のことが サイレンセスター:CIRENCESTER でもあった。
住宅街に入り込み、街はずれに出た、と思ったら、どこかの会社の敷地。この時の迷子の原因も、やはり地名と、ラウンドアバウトの道を指示しきれなかったところにある。
この頃には、随分慣れてきていたのだが、流れが速く、とっさに判断できない事が続くと、あっという間に迷子るのが英国の地方都市。街中の細かい地図などもちろんなく、標示を求め、おっかなびっくりで街をゆく。
よほどヨタヨタ走っていたのだろう。赤い車がチカチカ合図して、停まれ、というので、停まったら、女の人が出てきて、「迷ったんでしょ?」
おおおっ、天の助け、んだんだ、と訴える。「LACOCK」へ行きたいというと、「あ!ハリー?」 とにっこりし、「私は途中で右に曲がるけど、私が曲がる処で、左の道に入るのよ」と教えてもらう。
なんて親切なんでしょう! うるうるしながらお礼を言う。「Good Luck!」の返事が眩しいぜ。
大きな道との交差で、彼女が、右折の指示を出しながら、大きく左に手を上げて合図してくれる。左折の指示をだし、私が両手で丸を作り、別れ際には、一生懸命二人で手を振った。
こんな出会いがあると、迷うのも悪くない。二度と会うこともないだろうし、会ったところで、判らないだろうけど、心が温まる出会いに、二人とも、妙に嬉しくて、この日は、ず~っと幸せな気分だった。